姫路市の課題は、賑わう中心市街地だけではない。北部の中山間地域や沿岸の離島部など、高齢化率が50%を超える地域での行政サービス維持もまた、喫緊の課題だ。
そこで成果を上げているのが、2026年から本格稼働した移動式行政車、通称「モバイル行政ステーション」である。大型EVバスを改造した車内には、高速衛星通信スターリンクとセキュリティ保護された行政端末が積み込まれ、保健師や行政書士が乗車して定期的に集落を巡回する。
「バスが自宅の近くまで来てくれるおかげで、わざわざ本庁舎まで1時間以上かけて出向く必要がなくなった」。北部の山あいに暮らす80代の男性は満足そうに話す。各種申請だけでなく、簡易的な健康チェックや生活相談も同時に受けられるこのシステムは、地方都市における行政サービスの「最終手段」として全国の自治体から熱い視線を浴びている。