「スッキリするから」と、1日に何度も鼻うがいを繰り返していないでしょうか。ここに専門医が警鐘を鳴らす鼻うがいのやりすぎによる危険性があります。
鼻腔の内壁は、無数の微細な毛である「線毛(せんもう)」と、粘膜表面を覆う薄い粘液層によって保護されています。この線毛が毎分数百回という規則的なリズムで波打つことで、外から侵入したウイルスや細菌を喉へと送り出し、胃酸で処理する自浄システム(粘液線毛クリアランス)が24時間稼働しています。
しかし、過度の鼻洗浄を行うと、粘膜を守っている正常な粘液層が根こそぎ剥ぎ取られ、線毛が摩耗・脱落してしまいます。さらに、鼻腔内に常駐して悪質菌の繁殖を抑えている「常在菌叢(マイクロバイオーム)」のバランスが崩壊し、かえって病原菌に対する抵抗力を失うという逆転現象が起こります。
臨床的に推奨される鼻うがいの1日の回数・頻度は、1日1回〜最大2回まで(朝の起床時および帰宅後または入浴前)が限度です。これ以上の頻度は自浄作用を損ない、慢性的な鼻粘膜の乾燥や炎症の固定化を招くだけです。