日本国内における最高峰の情報集積拠点である国立国会図書館(NDL)は、所蔵する数千万点に及ぶ資料のほぼすべてが「禁帯出」です。一般の来館者が本を借りて館外へ出ることは一切できません。
国立国会図書館法に基づき、国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する「法定納本制度」を担う同館の至上命題は、日本国の文化的資産を永久に失わせず、100年後、200年後の未来へ引き継ぐことにあります。そのため、本を館外へ貸し出すリスク(紛失、汚損、返却遅延)を極限まで排除する設計が取られています。
一方で、大学図書館における禁帯出資料には、研究機関ならではの柔軟な運用が存在します。閉館直前に手続きを行い、翌朝の開館直後に返却することを条件とした「一夜貸出(オーバーナイト・ローン)」や、週末限定で貸出を認める「特別貸出制度」を設けている大学が多く見られます。これは学内の教員や学生の研究効率を落とさないための実践的な妥協策です。
また、最寄りの公共図書館に所蔵がない禁帯出資料であっても、図書館間相互貸借(ILL)を利用すれば、他館から資料を取り寄せ、自館の閲覧室内に限って読書できるネットワークシステムが整備されています。