JR総武線・大久保駅南口から徒歩1分足らずの雑居ビル1階。わずかカウンター席前後の小さな店構えながら、「スパイシーカレー魯珈」が放つ存在感は国内屈指です。店主の齋藤絵理氏は、名店「エリックサウス」で長年スパイス料理の基礎と哲学を叩き込み、幼少期から愛してやまなかった台湾の魯肉飯と掛け合わせるという独創的なコンセプトを具現化しました。
オープン以来、ミシュランガイドのビブグルマンに幾度も選出され、各種グルメアワードを総なめにしてきた背景には、単なる物珍しさではない計算し尽くされた調理理論が存在します。齋藤氏が公のインタビューや手記で一貫して語るのは、「スパイスの立ち上がりと余韻のコントロール」です。パウダースパイスとホールスパイスを火入れの段階で緻密に使い分け、油に移した香りを寸分の狂いもなく皿の上に定着させています。
客を魅了してやまないのは、提供される直前のテンションです。小さな厨房の中で、注文ごとに小鍋で仕上げられるカレーから立ち上るフレッシュな香気。客の目の前でスパイスが弾ける瞬間をダイレクトに届けるスタイルこそが、熱狂的なリピーターを生み出し続ける最大の要因といえます。