医療機関から渡される案内冊子には「前日の夜9時以降は絶食」と記載されているケースが一般的です。そのため、多くの受診者は「前日さえ気をつければ大丈夫」と解釈しがちです。しかし、消化器内科の専門医や内視鏡技師が口を揃えるのは、大腸内視鏡の食事制限はいつから始めるかという問いに対し「3日前が実質的なスタートライン」であるという事実です。
便秘傾向のない人であっても、食物繊維や脂肪分の多い食事は消化管内に3日以上滞留することがあります。とくに慢性的な便秘を抱える人や運動量の少ない人の場合、3日前に食べたゴマや海藻、果物の小さな種(キウイやイチゴなど)が盲腸や上行結腸のヒダにへばりつき、吸引ノズルを詰まらせたり微小な早期病変を覆い隠してしまうリスクが報告されています。
現場の看護師への聞き取り調査でも、「当日の下剤を2リットルすべて飲んでも便が透明にならない受診者の約8割が、2〜3日前に繊維質の多い食事を摂っていた」というデータが示されています。3日前から段階的に消化の良い食事へ切り替えておくことこそが、当日の下剤を早く効かせ、検査時間を短縮させる最大の防御策です。