物語のクライマックスにおいて、榑羽は慊人の逆上によって刃物で刺され、重傷を負う。長年隠し通してきた真実が白日のもとに晒され、慊人の精神的な崩壊が頂点に達した瞬間だった。だが、命の危機に直面してもなお、榑羽は慊人を責めることなく、彼女が背負わされてきた孤独の重さを深く思いやった。
一命を取り留めた榑羽は、すべての呪いが解けた後に草摩の屋敷を去る決意を固める。それは過去の贖罪と依存からの自立を意味していた。病院を退院した彼を待っていたのは、他でもない魚谷ありさだった。二人は静かに手を取り合い、新しい土地で共に生きていく一歩を踏み出したのである。