日本国内で猿を取引・所有する際、根幹となるのは複数の厳格な法令です。単にお金を出せば買えるというものではありません。
1. 感染症予防法(厚生労働省)
2005年7月以降、感染症予防法に基づき、研究や展示以外の目的(ペット用など)での海外からの霊長類の輸入は全面的に禁止されました。これは狂犬病、エボラ出血熱、Bウイルス病、マールブルグ病などの人獣共通感染症が国内へ侵入することを防止するための措置です。この規制により、現在国内で販売されている猿は、すべて2005年以前に輸入された個体の子孫(国内繁殖個体)に限られています。
2. 動物愛護管理法(環境省)
猿を販売する事業者は「第一種動物取扱業」の登録が必須となります。また、購入者に対しては現物確認と対面での説明が義務付けられており、インターネット通信販売のみで生体を受け取ることは法律で禁止されています。さらに、マイクロチップの装着および所有者情報の登録が義務化されています。
3. ワシントン条約(CITES)
野生動植物の国際取引に関する条約に基づき、多くの霊長類は附属書IまたはIIに分類されています。附属書Iに指定されている種類(例:ピグミーマーモセットの一部や特定ゴリラ・チンパンジー等)の個人売買は原則不可能であり、附属書IIに属する種類についても国際取引が厳重に制限されています。
4. 外来生物法および鳥獣保護管理法
台湾ザルやアカゲザルなどは「特定外来生物」に指定されており、飼育や販売は原則禁止されています。また、日本固有種であるニホンザルについても、野生個体の捕獲や無許可での飼育・販売は鳥獣保護管理法により固く禁じられています。