建築から数年が経過し、スタジアムの外観にも明らかな変化が現れている。軒庇に使われた国産スギの木材は、雨風にさらされて徐々にグレーがかった落ち着いた色合いへと変化した。これこそが隈建築の真骨頂である「経年美化」だとする見方がある一方で、メンテナンスの難しさを指摘する声も絶えない。
木材の腐食や劣化を防ぐための防腐処理や定期的な点検には、膨大なコストと手間がかかる。鉄とコンクリートの近代建築に慣れ親しんだ現代社会において、自然素材を維持し続けることの覚悟が、今まさに試されている。単なるノスタルジーではなく、持続可能な管理体制が構築できるかどうかが鍵だ。