かぎろひ屋の作品を形づくるのは、奈良・大和の豊かな風土だ。澄んだ吉野の清流。豊かな養分を含んだ土壌。そして盆地特有の寒暖差。この気候風土が、染料となる植物の質を高め、染色に適した美しい水をもたらす。
麻と絹:古代から続く繊維へのこだわり
使用される生地にも妥協はない。古来より日本で愛されてきた奈良晒(ならざらし)の伝統を汲む麻布や、しなやかな上質の絹。これらの天然繊維は、草木染めの色素を優しく吸い込み、時間の経過とともに独特の風合いへと変化していく。
手紡ぎの糸には適度な太さのムラがある。そのムラが光を複雑に屈折させ、色の深みをさらに際立たせるのだ。肌に触れた瞬間のサラリとした質感と、包み込まれるような心地よさは、合成繊維では決して再現できない。