一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは長いカウンター越しに見える板前の手元だ。うちわで煽る炭火から立ち上る煙が、食欲をダイレクトに刺激する。カウンターの向こう側には、日本全国の酒蔵から厳選された300種類以上におよぶ地酒の瓶が所狭しと並ぶ。
入手困難と言われるプレミアム酒はもちろん、地元以外ではめったにお目にかかれないマイナーな蔵元の逸品まで。リストを眺めるだけでも小一時間はかかりそうだ。利き酒師の資格を持つスタッフが、その日の客の気分や注文した料理に合わせて最高の杯を提案してくれる。押し付けがましさは一切ない。会話の端々から感じられるのは、醸造家たちへの深い敬意だ。