連載当時、この「カイトの少女転生」に対する読者の反応は決して一枚岩ではありませんでした。5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)や当時の考察ブログ、現在のX(旧Twitter)に至るまで、長期にわたって激しい議論が交わされてきました。
否定的な意見としては、「ピトー戦の緊張感や、ゴンの凄絶な自己犠牲(ゴンさん化)の重みが薄れてしまったのではないか」という声が一部で見られました。命を投げ打ってまで復讐を果たそうとしたゴンの代償に対して、救済があまりにも都合よく用意されたのではないかという見解です。
しかし、時を経るにつれて読者コミュニティの評価は「これ以上ない救済の物語構造」へと傾いていきました。ゴンという少年にこれ以上「仲間を見殺しにした」という消えない十字架を背負わせ続ければ、作品の主人公としての歩みは完全に破滅で閉ざされてしまいます。カイトが生きていたからこそ、ゴンはジンと語り合い、念能力を失った後も「一人の人間」として故郷くじら島へ帰る平穏を得ることができました。残酷な現実を描き抜く冨樫義博氏が、唯一差し伸べた「優しさとカタルシス」の結晶として、現在では極めて高く評価されています。