2010年1月場所、25回目の幕内最高優勝を果たした直後、突如として激震が走った。場所中に起きたとされる知人男性とのトラブルが一般紙や週刊誌で連日大々的に報じられ、日本相撲協会は厳しい追及の姿勢を強めた。
結果は、29歳という全盛期の肉体を残したままの電撃引退。記者会見の席上、涙を浮かべながら語った「横綱としての責任」という言葉の裏には、どれほどの葛藤と無念が渦巻いていたのか。
規格外の才能ゆえに既存の枠組みと軋轢を生み続けた孤高の横綱。引退から年月が流れた今でも、あの幕引きの真相についてはファンの間で議論が尽きない。確かなのは、彼が去った後の土俵にぽっかりと巨大な空白が残されたという事実だけだった。