エアコンの風を浴びた際に生じる咳は、単なる喉の乾燥や一般的な風邪とは根本的にメカニズムが異なります。空気中に飛散した微細なカビ(真菌)の胞子を気道に取り込むことで、免疫システムが過剰に反応して炎症を引き起こすアレルギー反応です。
医療現場で特に多く鑑別されるのが、以下の3つの疾患です。
1. 夏型過敏性肺炎(トリコスポロン症)
高温多湿を好む「トリコスポロン」というカビを繰り返し吸い込むことで肺胞にアレルギー性の炎症が起きる病気です。「自宅にいると咳や微熱、息切れが出るが、職場や外出先に行くと症状が軽快する」という明確な環境依存性を持つのが最大の特徴です。
2. 咳喘息および気管支喘息
エアコン内に溜まった「アスペルギルス(コウジカビ)」や「クラドスポリウム(黒カビ)」が気道を刺激し、激しい咳発作を誘発します。ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)を伴わない場合でも、夜間や早朝に空咳が止まらなくなるケースが目立ちます。
3. アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
アスペルギルスに対して強いアレルギー反応を起こし、気管支の拡張や肺機能の低下を招く難治性の病態です。放置すると気管支が変形し、呼吸困難が慢性的になるリスクを孕んでいます。