ホラー映画などの吸血鬼(ヴァンパイア)のイメージから、「これほど巨大なコウモリに夜道で襲われたらひとたまりもない」と恐れる人も少なくありません。しかし、結論から言えばフィリピンオオコウモリが人間を能動的に襲うことは絶対にありません。
彼らは「フルーツバット(果実コウモリ)」と呼ばれるグループに属しており、その主食は野生のイチジク(無花果)、マングローブの果実、植物の葉や花の蜜です。歯の構造も果物の皮を噛み破り、果汁を絞り出して飲むために特化しており、鋭利な牙で獲物の肉を切り裂くような肉食動物の性質は持ち合わせていません。
また、小型のコウモリのように超音波(エコーロケーション)を使って暗闇を飛ぶのではなく、発達した大きな目と鋭い嗅覚を頼りに飛行します。顔つきをよく見ると、キツネや小型犬に非常によく似た愛らしい顔立ちをしており、英名で「フライングフォックス(空飛ぶキツネ)」と呼ばれる所以もここにあります。非常に温厚で臆病な性格のため、人間が近寄れば自ら飛び去って逃げるのが通常の行動パターンです。