『リビングの松永さん』を語る上で欠かせないのが、原作漫画の結末と実写ドラマ版の最終回におけるアプローチの違いです。作者の岩下慶子が紡いだ原作は全11巻で完結しており、ヒロイン・園川めいこ(ミーコ)と松永純(松永さん)の関係性を時間をかけて丁寧に育む構成が採られました。
原作漫画のクライマックスでは、ミーコの高校卒業という明確な節目を待ち、彼女が一人の自立した大人の女性へと成長していくプロセスが描かれます。松永さんは保護者代わりの立場ゆえの葛藤を抱えながらも、最後にはミーコに対して誠実にプロポーズを果たし、番外編を含めて将来を誓い合う完全なハッピーエンドへと到達しました。
一方、全12話で構成されたドラマ版の最終回では、テレビドラマならではの凝縮されたカタルシスが演出されました。松永さんは一度シェアハウスを出る決断を下し、ミーコをひとりの女性として見つめ直すための「自立とケジメ」の期間を設けます。最終話のラストシーンでは、リビングでの温かな再会とともに、ミーコが大人になるまで変わらぬ愛で見守り続けるという誓いが交わされ、視聴者に強い余韻を残しました。
ファンの間で話題となった「キスシーンは何話なのか」という点についても、原作とドラマでは見せ方が異なります。ドラマ版では第10話の水族館デートや終盤の告白シーンでじわじわと距離が縮まり、最終回で満を持して訪れる甘いクライマックスへと結実しました。大人の分別と抑えきれない情熱が交錯する瞬間が、計算し尽くされたカメラワークと脚本で形作られています。