ヒット曲を連発し、全国のホールを満員にし続けていた一世風靡セピアは、1989年7月31日の渋谷公会堂ライブをもって鮮やかに解散しました。人気絶頂のさなかに下された決断の背景には、不仲や金銭トラブルといった俗世的な理由ではなく、彼らならではの徹底した哲学がありました。
結成当初から、メンバー間には「予定調和の活動をだらだらと続けない」「表現としての鮮度が落ちる前に自ら幕を引く」という共通の合意が形成されていました。5年という活動期間の中で、路上からメジャーシーンを席巻するという目標を達成した彼らは、「お祭り騒ぎは最も熱い瞬間に美しく終わらせる」という美学を貫いたのです。
グループの看板に甘えることなく、全員が一人の表現者・役者として自立した道を歩むために選んだ前向きなピリオド。それこそが、解散から幾年月が流れても彼らがリスペクトされ続ける最大の理由です。