金属素材を選ぶうえでまず押さえておきたいのが、ステンレスと鉄の違い、そして炭素鋼とステンレスの違いという基本的な位置づけです。スチール(Steel)は日本語で「鋼(はがね)」を指し、鉄(Fe)に0.02〜2%程度の炭素(C)を加えて強度を高めた「炭素鋼」がその代表例にあたります。純粋な鉄は柔らかすぎて加工や構造物に適さないため、一般的に私たちが「鉄製品」と呼んでいるものの多くはスチールです。
一方のステンレス(Stainless Steel)は、直訳すると「Stain(汚れ・サビ)+ Less(ない)」という名の通り、スチールをベースにクロムの含有量を10.5%以上加えた合金鋼を指します。鉄にクロムが混ざることで、表面に「不動態皮膜」と呼ばれる極めて薄い保護膜が瞬時に形成され、酸素や水分による酸化(サビ)を強力にブロックします。
つまり、スチールとステンレスは別物の金属ではなく、「スチールという大きな鉄鋼グループの中に、耐食性を極限まで高めた上位互換素材としてステンレスが存在している」と理解するのが正確です。