気温の極端な上昇だけでなく、降雨パターンの激変もセミのライフサイクルに強いブレーキをかけています。蝉の幼虫は地中で数年間を過ごした後、初夏の適度な雨で柔らかくなった土を押し分けて地上に出てきますが、空梅雨や集中豪雨といった極端な天候が続くと、セミの羽化時期に遅れが生じます。
蝉の鳴き始めとなった2026年の初夏を振り返ると、地中温度の上昇と乾燥によって幼虫が出てくるタイミングが分散し、例年のような一斉羽化が見られなくなりました。その結果、個体数が揃って大合唱になる時期が後ろ倒しになっています。
さらに、賢いセミたちは鳴く時間帯を「命がけの日中」から「比較的涼しい早朝(午前5時〜7時台)や日没直後」へとシフトさせています。人間が日中活動している時間帯に鳴き声を聞く機会が減ったことで、体感として「蝉がいない」と感じる現象が加速しました。