昆虫の寿命というと「数週間から数ヶ月」というセミやハエのようなイメージを持たれがちですが、アリの寿命は昆虫界でも群を抜いて長期にわたります。
一般的に女王アリの寿命は10年〜20年に達し、ギネス記録級の種では30年近く生きた例も報告されています。安全な巣の最深部で手厚く保護され、抗酸化物質に富んだ食事を与えられ続けるため、驚異的な長寿を誇ります。
一方、外に出て過酷な労働にさらされる働きアリの寿命は通常数ヶ月から1〜2年程度です。では、女王が死んだ後、残された働きアリたちの余命はどう変化するのでしょうか。
研究や観察によると、女王の死後も働きアリが即座にパニック死するわけではありません。しかし、女王死後の働きアリの寿命は通常より短くなる傾向がみられます。統率を失って採餌行動が乱れ、前述したオスアリへの無駄な給餌によって巣全体の資源が枯渇するためです。外敵からの防衛力も落ち、最終的には老衰や飢餓、カビの繁殖などによって、1匹、また1匹と姿を消し、静寂が巣を包み込みます。