いま、愛好家の間で凄まじい争奪戦となっているのが、季節の移ろいとともに提供される数量限定の特別懐石仕立てメニューだ。伝統的な日本料理・和食の枠組みを大切にしながらも、従来の蕎麦屋の枠を軽々と飛び越える独創性が光る。
特に注目を集めているのが、産地別・熟成期間別の蕎麦粉を用いた「十割蕎麦の利き蕎麦仕立て」や、旬の鴨肉と特製出汁を絶妙な火入れで合わせる限定鴨せいろである。出汁には熟成本枯節と厳選昆布を惜しみなく使い、かえしのキレと蕎麦の豊かな風味が口の中で立体的に広がる。最後の一滴まで飲み干したくなる濃厚な蕎麦湯とともに味わう瞬間は、まさに至福というほかない。