腸腰筋の起始停止を完全攻略!大腰筋・腸骨筋の違いと臨床・国試の極意の注目されている理由をコンパクトにまとめました。全体像を一目で把握できます。
国家試験や臨床の現場で最も引っかかりやすい論点が、腸腰筋の支配神経です。「腸腰筋=大腿神経」と一括りにして記憶していると、臨床での神経障害の鑑別で誤った推論を導いてしまいます。
大腰筋を支配しているのは大腿神経本幹ではなく、腰神経叢から直接分岐する筋枝(L1〜L3、一部L4)です。それに対し、腸骨筋を支配しているのは腰神経叢から伸びる大太の末梢神経である大腿神経(L2〜L4)です。小腰筋は腰神経叢の枝(L1〜L2)を受けます。この走行と支配神経の違いを以下の比較表で完全に頭へ叩き込んでください。
筋肉名起始・停止の詳細支配神経と髄節レベル臨床・国試での重要チェックポイント大腰筋
(Psoas major)【起始】浅頭:T12〜L4椎体側面・椎間円板/深頭:全腰椎の肋骨突起
【停止】大腿骨小転子腰神経叢の筋枝
(L1〜L3、一部L4)大腿神経ではなく腰神経叢直枝。鼠径靭帯下の筋裂孔を通過する。腰椎前弯を増強させる最大の生体力学的因子。腸骨筋
(Iliacus)【起始】腸骨窩全域、内唇、前仙腸靭帯
【停止】大腰筋腱と合流し大腿骨小転子大腿神経
(L2〜L4)大腿直筋などと同じ大腿神経支配。骨盤内部で大腿神経の外側に位置し、骨盤アライメント(前傾運動)に純粋に関与。小腰筋
(Psoas minor)【起始】T12〜L1椎体側面および椎間円板
【停止】腸恥隆起、恥骨筋線腰神経叢の筋枝
(L1〜L2)日本人での存在率は約60〜65%(約4割が欠損)。大腿骨に付着しないため股関節屈曲作用を持たない。
臨床解剖学的な観点から言えば、鼠径靭帯の深層を通るトンネルは外側の「筋裂孔」と内側の「血管裂孔」に腸恥筋膜弓によって明確に区分されています。腸腰筋とともに大腿神経・外側大腿皮神経が筋裂孔を通過するのに対し、大腿動脈・大腿静脈・大腿輪は血管裂孔を通ります。この走行境界は、絞扼性神経障害や鼠径ヘルニアの鑑別において極めて重要な指標となります。