ちぢみほうれん草の調理で最も苦情が多いトラブルが、食べたときの「ジャリッ」という不快な砂噛みです。地面を這うようにロゼット状(放射状)に広がるちぢみほうれん草は、強風や雨の跳ね返りによって根元の中心深くに細かい泥や砂を抱え込んでいます。流水で外側からいくら流しても、奥に入り込んだ土は絶対に落ちません。
大手料理メディアやキッコーマン等の公式料理情報でも一貫して推奨されているのが、「根元への切り込み」と「ため水での振り洗い」の組み合わせです。泥を完全攻略する手順は以下の通りです。
1. 根の先端のヒゲだけを削ぎ落とす
ちぢみほうれん草の根元にある鮮やかなピンク色の部分は、骨形成や代謝に関与するミネラル「マンガン」が豊富で、株の中で最も甘みが強い極上部位です。ここを切り落とすのは大きな損失です。泥がついた茶色い先端の硬い皮だけを包丁で薄く削ぎ落とします。
2. 十文字(太い株なら六つ割り)に切り込みを入れる
根元の中心に向かって、深さ1〜2cmほどの深さで十字に包丁を入れます。こうすることで葉がバラバラにならず一株のまとまりを維持したまま、密閉されていた茎の根元に水の通り道が生まれます。
3. ボウルに水を張り、5分浸けてから「根元振り洗い」
大きめのボウルにたっぷりの冷水を張り、根元を下にして5分ほど浸けておきます。乾燥してこびりついた土が水分を吸って柔らかくなり、自然と隙間が緩みます。その後、株の葉先を持って水の中で根元を激しく前後左右に揺らす「振り洗い」を行います。遠心力と水流によって、奥に潜んでいた砂粒がボウルの底に沈殿します。
4. 仕上げに流水で葉の間を流す
縮れた葉の凹凸面にも細かい砂が付着しているため、ボウルから引き上げた後、蛇口からの流水を葉の付け根から葉先に向けて流し、指の腹で軽くなでるようにして完了です。