北見敏之を深く知るうえで欠かせないのが、骨太な下積みを経て築き上げられたその経歴です。東京都出身の北見敏之は、身長177cmという均整の取れた長身と、通るテノール〜バリトンの声質という、役者として恵まれた資質を持ってキャリアの第一歩を踏み出しました。
彼の原点は1970年代の熱狂的な舞台運動にあります。大学中退後、本格的に役者を志して名門・劇団雲の演劇研究所や創立期の演劇界で過酷なレッスンを重ね、芝居の基礎体力を徹底的に叩き込まれました。北見敏之の若い頃は、端正かつ冷ややかなマスクが特徴的で、尖ったアングラ演劇や日活などの気鋭の作品群で強烈な異彩を放っていたといいます。
単なる「悪役俳優」に収まらない多重的な表現力は、こうした若い頃の過酷な舞台経験と、多様な演出家・映画監督と衝突しながら磨き上げたストイックな現場経験によって培われたものです。