腫瘍マーカーが健診において問題視されるもう一つの要因が、「偽陽性(ぎようせい)」と「偽陰性(ぎいんせい)」の頻度の高さです。
検査結果で基準値を超えていた場合、誰もが「自分はがんなのではないか」と強い恐怖を感じます。しかし実際には、腫瘍マーカーが高いからといってがん確定ではありません。炎症性の病気(胃炎、肝炎、気管支炎など)や良性のポリープ、さらには喫煙習慣や加齢、服用中の薬剤の影響によっても数値は容易に跳ね上がります。
一方で深刻なのが、進行したがんを抱えていても数値が全く上がらない「偽陰性による見逃し」です。「腫瘍マーカーが正常値だったから大丈夫」と安心し、自覚症状が出ているのに精密検査を先延ばしにしてしまう受診者が後を絶ちません。検査結果の過信が、かえって発見の遅れを招く皮肉な結果を生んでいるのです。