日本全国に数あるご当地麺の中で、なぜ香川の讃岐うどんと秋田の稲庭うどんだけが別格の扱いを受けているのか。その理由は、圧倒的な歴史の深さと独自の製法、そして全国的なブランド確立の早さにあります。
香川県の讃岐うどんは、空海(弘法大師)が唐から製麺技術を持ち帰ったという伝説をはじめ、古くから良質な小麦・塩・醤油・いりこ(煮干し)に恵まれた風土で発展しました。足踏みと手打ちによる力強いコシとエッジの立った麺、いりこ出汁の豊かな風味が特徴で、香川県を「うどん県」として定着させた日常食の最高峰です。
一方、秋田県の稲庭うどんは、江戸時代初期に発祥し、かつては藩主への献上品として門外不出の扱いを受けていた高級乾麺です。小麦粉と食塩水のみを原料に、熟成と手延べを繰り返して作られる麺は、内部に気泡を含んだ平たい形状をしています。絹のように滑らかな喉越しと、繊細ながらもしっかりとした歯ざわりを持ち、宮内庁御用達としてもその名を知らしめてきました。