騒動の現場となったのは、ゆりかもめ日の出駅近くにある東京港の防潮扉でした。幅約1メートル、高さ約2メートルのアルミ製扉に描かれていたのは、黒い傘を開き、小さなカバンを手にしたネズミのステンシル画。世界的に著名な覆面アーティスト、バンクシーの代表作『Umbrella Rat』と構図が極めて酷似していました。
事態が急変したのは2019年1月17日夜のことです。小池百合子都知事が自身の公式Twitter(現X)に、防潮扉の前にしゃがみ込んで指を差す写真とともに次のメッセージを投稿しました。
「あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも? カバンを持っているようです。」
この投稿は瞬く間に数万件のリツイートを記録し、ネット上を席巻。しかし、行政の長としての不用意とも取れる発言は、直後から激しい批判の嵐を巻き起こすことになります。