長渕剛の妻となる以前、志穂美悦子という人物が築き上げた実績は日本の映画史において金字塔と呼べるものだった。アクションスター・千葉真一が設立したジャパン・アクション・クラブ(JAC)の第一期生として入信し、過酷な訓練を積み重ねた彼女は、映画『女必殺拳』シリーズで主演を務め、吹き替え(スタント)なしのアクションをこなす唯一無二の女優として世界的な評価を獲得した。
アクロバティックなキックや刀を振りかざす立ち回りは、当時の日本映画界において衝撃的であり、まさに女性アクションの先駆者であった。しかし、長渕剛との結婚を機に、彼女は人気絶頂のなかで芸能界の一線から退く決断を下す。トップ女優としてのキャリアをきっぱりと捨て、一人の男を支える妻としての道を選んだその潔さもまた、彼女のアクション魂に通じる潔さであったと言える。