洋食文化の金字塔であるナポリタン発祥の地は、港町・神奈川県横浜市に建つクラシックホテル「ホテルニューグランド」です。1927年に開業した同ホテルは、昭和から令和に至るまで日本の洋食史を牽引してきた名門として知られています。
ナポリタン誕生の直接の契機となったのは、第二次世界大戦直後の1945年、同ホテルが連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)に接収されたことでした。マッカーサー元帥をはじめとする米軍将兵の宿舎となった館内では、米兵たちが持ち込んだ軍用保存食が大量に消費されていました。
当時、米兵たちが夜食として好んで食べていたのが、茹でたスパゲッティに塩・胡椒を振り、ケチャップを和えただけの大雑把な料理でした。粗末な食事風景を目の当たりにしたホテルの料理長が「一流のホテルとして、将校たちにふさわしい本格的な料理を提供したい」と立ち上がったことが、ナポリタン誕生秘話の幕開けとなったのです。