昭和から平成初期に至るまで、特撮作品における女性キャラクターは多くの場合、主人公を支えるヒロインやレスキュー対象、あるいは悪の幹部といったポジショニングに限定されがちだった。仮面ライダーというタイトルを自ら冠し、一人前の戦士として前線で刃を交える存在は、加藤夏希が演じたファムが史上初である。
単なる「客寄せパンダ」的なイベント起用ではなく、物語の核心に深く関わる因果を背負わせた脚本の手腕も大きい。だが、それに応えてスクリーン上で圧倒的な殺気と悲哀を体現した加藤夏希の演技力こそが、企画を大成功へと導いた最大の要因だ。彼女の拓いた道がなければ、その後のシリーズで活躍する数々の女性ライダーたちは誕生し得なかったかもしれない。