作中で絶対的な恐怖として君臨する鬼教師フレッチャーを演じたのは、J・K・シモンズだ。彼の冷酷極まりない表情と威圧感あふれる怒声は、観る者に息を呑ませる。「英語の中で最も害になる言葉は『よく出来た(Good Job)』だ」というフレッチャーの持論は、彼の指導理念の根幹をなしている。
対する主人公アンドリューを演じたマイルズ・テラーは、偉大なドラマーになるという野心に囚われ、次第に自らを追い詰めていく。手の皮が破れ、シンバルに血が飛び散ってもスティックを振り下ろし続けるその姿は、痛切な痛みを伴う。師匠からの肉体的・精神的な暴力と、認められたいという凄惨な承認欲求。この二者の葛藤が、作品全体を貫く凄まじい熱量を生み出している。