特に軋轢が生じやすいのが、日々成果と納期に追われるビジネスの現場だ。妊婦が体調不良で急に休んだり、業務量を減らしたりすること自体は制度上も人道上も保護されるべき権利である。問題は、その抜け穴を埋める補償が職場メンバーに存在しない点にある。
「彼女が休んだ分の残業代は出るけれど、こちらの精神的負担やプライベートの犠牲は一切考慮されない」「体調が悪いとアピールしながら、デスクでため息をつかれ、SNSには『誰も助けてくれない』と書き込まれる」。こうした事例は枚挙に暇がない。感謝の言葉もなく、体調不良を免罪符にするかのような振る舞いが重なったとき、残された同僚たちの不満は限界に達する。つまり、ターゲットにされているのは「つわりの辛さ」そのものではなく、配慮を受ける側の「コミュニケーションのあり方」なのだ。