港街の歴史を紐解く上で、決して外すことができない人物がいる。出光興産の創業者である出光佐三だ。かつて石油の空中給油や海上販売で頭角を現し、破天荒な商魂で名を馳せた彼は、この門司の地を拠点に世界へと飛躍していった。
彼の一生をモデルに描かれた百田尚樹の小説および映画『海賊と呼ばれた男』の舞台としても、門司港は一躍脚光を浴びた。港周辺を歩くと、彼がかつて汗を流し、激動の時代を駆け抜けた当時の面影がそこかしこに残っている。石畳の路地や古びた倉庫群に身を置くと、単なる観光地としての顔だけでなく、近代日本の産業を裏で支えた男たちの熱きドラマが聞こえてくるようだ。