本並氏のサッカー人生を語る上で避けて通れないのが、1993年7月7日に万博記念競技場で行われたサンフレッチェ広島戦での「左腎臓破裂事故」です。
相手FWとの激しいルーズボールの競り合いで脇腹に強烈な衝撃を受けた本並氏は、激痛に襲われながらも即座には退場せず、そのままプレーを続行しようとしました。しかし、ハーフタイムにロッカールームで倒れ込み、緊急搬送された病院の診断結果は生命の危機を伴う「左腎臓の完全破裂」でした。
体内に約2,000ccを超える血液が流出しており、あと数十分処置が遅れていれば命を落としていたとされる危険極まりない状態でした。開腹手術によって破裂した腎臓の摘出・修復という大手術を受け、一時は「選手生命はおろか通常の日常生活に戻れるかどうかも危うい」と危惧されました。
しかし、本並氏は不屈の闘志で過酷なリハビリを乗り越え、翌1994年シーズンには驚異的な回復力で見事にピッチへ復帰。さらに復帰直後に日本代表に初招集されるという、サッカー史に残る奇跡のカムバック劇を成し遂げました。この壮絶な経験が、彼の精神的な強さと他者への深い包容力を培ったと関係者は口を揃えます。