エヴァの理解を難しくしている主因が、「旧劇場版」と「新劇場版」という2つの映画シリーズの存在です。この2つは単なる画質の違いや再編集版ではなく、作品の持つ役割と結末が根本から異なります。
1990年代に制作された旧劇場版(特に名作として名高い『Air/まごころを君に』)は、テレビシリーズ第25話・最終話で描かれたシンジの内面世界を描く結末に対し、「現実の世界で何が起きていたのか」をハードかつ容赦のない描写で描ききったテレビ版の完全補完作です。主人公・碇シンジの極限の絶望と精神的葛藤が生々しく描かれ、90年代カルチャーに深い爪痕を残しました。
一方、2007年から展開された新劇場版は、タイトル表記を『ヱヴァンゲリヲン』と改め、単なるリメイクではなく「新世代に向けた再構築(リビルド)」として制作されました。新キャラクターである真希波・マリ・イラストリアスの投入や新型エヴァンゲリオンの登場、中盤以降の完全新規ストーリーへの分岐など、旧作を知るファンほど意表を突かれる構造が仕掛けられています。