1980年代後半のバブル全盛期、タクシーを捕まえるために一万円札を掲げたという都市伝説とともに語り継がれる時代があった。当時は、一週間の労働に対する対価としての「爆発的消費」が美徳とされていた。だが、それから約40年が経過した今、日本のナイトライフを覆っているのは驚くほど静かで洗練された空気だ。
都内の大手IT企業に勤める30代男性は「金曜の夜に翌日の午前中を潰すような飲み方は、コストパフォーマンスもタイムパフォーマンスも最悪」と素っ気なく語る。かつての「大酒を飲んで憂さ晴らしをする場所」だった居酒屋街は、今や目的意識を持った限定的な交流の場へと変貌を遂げた。アルコールを伴わないサークル活動や、短時間で終わる「サク飲み」が主流となり、終電間際のホームで酩酊する大人の姿は激減している。