注射針が皮膚を貫通する際、表皮や真皮だけでなく、皮下組織や血管壁にも微小なダメージが加わります。通常であれば生体の治癒能力によって数日から数週間で元の状態へ戻りますが、特定の条件下では組織の修復プロセスが暴走し、注射部位の皮膚の硬化やしこりが形成されます。
注射痕にしこりが生じる最大の原因は、皮下出血と組織の過剰な線維化です。針を抜いた後の圧迫止血が不十分だと、血管外へ漏れ出した血液が皮下に溜まり血腫を作ります。この血液成分を吸収・修復する段階で線維芽細胞が過剰に働き、コラーゲンを過密に産生してしまう状態を「皮下硬結(ひかこうけつ)」と呼びます。これが皮膚の上から触れた際に、硬いタコのように感じられる正体です。
さらに、同じ部位への度重なる穿刺や、針を刺したまま腕を動かして組織を傷つけた場合、静脈注射による瘢痕化の経過が長期化します。傷跡が平坦に治らずに硬い結節として残存し、長期間にわたって消えないタコへと変化してしまうのです。