ドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』の最大の魅力は、当時まだ10代後半から20代前半だった若手俳優陣の剥き出しの演技力にあります。彼らが現在、日本のエンターテインメント界のトップランナーとしてどのようなキャリアを歩んでいるかを振り返ると、本作がいかに異例のキャスティングであったかが浮き彫りになります。
高校生時代の主人公・松本朔太郎を演じた山田孝之は、当時20歳。泣き叫び、感情をむき出しにする渾身の演技で「第42回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 主演男優賞」を受賞しました。現在の山田孝之は、骨太な人間ドラマからコメディ、プロデューサー業や実業家、映画監督に至るまで多角的に活躍し、日本映画界において代替不可能な実力派カメレオン俳優としての地位を確立しています。当時のインタビューで語られた「サクという役に入り込みすぎて精神的に追い詰められた」という経験が、その後の圧倒的な役作りの原点になったと語り継がれています。
ヒロイン・廣瀬亜紀を演じた綾瀬はるかは、オーディション応募者700人超の中から抜擢されました。白血病治療の副作用に苦しむ役作りのため、短期間で急激な減量を敢行し、自ら申し出て実際のスキンヘッド(坊主頭)となって撮影に臨んだエピソードはあまりに有名です。現在の綾瀬はるかは、アクションからシリアス、大河ドラマの主演までこなす国民的トップ女優へと成長。当時見せた「透明感と芯の強さ」は、現在の表現力の礎となっています。
さらに、朔太郎の親友・大木龍之介役を演じた柄本佑は、その後日本アカデミー賞をはじめとする数々の映画賞を受賞する屈指の名バイプレイヤー・主演俳優へと飛躍。ライバルの大木克明役の田中幸太朗、親友役の本仮屋ユイカなど、脇を固めたキャスト陣も息の長い活躍を続けています。また、34歳の現代編朔太郎を哀愁深く演じた緒形直人、松本謙太郎役の仲代達矢ら名優たちの重厚な存在感が、単なる青春ドラマにとどまらない圧倒的な奥行きを与えていました。