没後100年近くが経過しようとする今、彼の言葉は意外な場所で若い世代の心を捉えている。その最大の推進力となっているのが、著作権の保護期間を過ぎた作品を無料で公開する青空文庫の存在だ。
スマートフォンの一画面に収まる短く切実なフレーズは、SNSで日々の生きづらさを吐露する現代人の投稿と不思議な親和性を持つ。X(旧Twitter)やTikTokでは、彼の句を引用して自らの孤独を語る若者が後を絶たない。
さらに、NHKオンデマンドなどで配信されている過去のドキュメンタリー番組やドラマが、この熱狂に拍車をかけている。画面越しに映し出される小豆島の風と、病床で孤立無援のままペンを走らせた男の凄絶な最期。映像を通じて彼の生に触れた視聴者が、再び文庫本や電子書籍へと向かう循環が生まれているのだ。