日本中の視線がひとつのボールに注がれたあの夏。全国高等学校野球選手権大会の歴史において、今なお「最高峰のフィナーレ」と語り継がれる奇跡の勝負がある。
超満員のスタンドが見守る中、土壇場の窮地で繰り出された右翼手・矢野勝嗣による奇跡的な大返球。松山商業高校野球部が魅せたあのバックホームは、白球が描いた放物線とともに高校球児の執念を象徴するプレイとして、日本スポーツ史の金字塔となった。
走者と捕手が本塁上で激突したあの刹那、グラウンド上に流れていた空気は一体どんなものだったのか。当時の熱気は歳月を経てもなお薄れることなく、新たな映像美学とともに再びスポットライトを浴びている。