本作最大の魅力は、本編シリーズのシリアスな戦いから一転して描かれる、旅立ち前の日常の機微にある。高校生活の終わりは、大人への第一歩。主人公の七瀬遙や橘真琴が直面する「進路」と「住まい」の問題は、視聴者にとっても極めて身近で共感度の高いテーマだ。
4つのエピソードで展開される物語は、クスッと笑えるコメディ要素を交えつつも、どこか寂しげで愛おしい風が吹き抜ける。岩鳶高校水泳部を支えてきた先輩たちが、後輩の竜ヶ崎怜や葉月渚へバトンを繋ぐ姿。言葉に出さない思いがプールサイドの風に溶け込んでいく演出は、観る者の感情を強く揺さぶる。