映画界における彼女の足跡を語る上で欠かせないのが、1978年公開の『男はつらいよ 噂の寅次郎』である。第22作のマドンナ・早苗役に抜擢された大原は、離婚の傷を抱えながら懸命に生きる芯の強い女性を演じ切った。山田洋次監督が引き出した彼女の素朴な笑顔と繊細な心の揺れは、歴代シリーズ屈指の名ヒロインとして今なお語り草となっている。
一方で、テレビドラマの歴史に刻まれた金字塔が、1989年のNHKによる大河ドラマ『春日局』での主演だ。戦国の動乱を生き抜き、徳川幕府の盤石な基礎を築き上げた女性の波乱に満ちた生涯を、鬼気迫る気迫と凛とした美しさで体現。従来の時代劇における春日局像を覆し、平均視聴率32.4%を叩き出す大ヒットを記録した。可憐なCMクイーンから、日本を代表する本格派女優へ。その圧倒的な存在感は、お茶の間の記憶に深く刻み込まれている。