そもそも、憲法が定める「勤労の義務」は、すべての国民に有償の労働を強要するものなのだろうか。多くの憲法学者はこれを即座に否定する。憲法第27条が規定する勤労の義務は、怠惰による無為徒食を防ぎ、国家の社会福祉依存を防止するためのプログラム規定、あるいは労働権の裏返しとして解釈されるのが一般的だ。病気や自己の選択によって家庭労働に専念する国民を、憲法違反として処罰・強制する法的な根拠などどこにも存在しない。
しかし、一部の民間有志や法学若手研究者が立ち上げた「日本国憲法第27条改正プロジェクト」のような動きが、議論に新たな一石を投じている。彼らが提起するのは、現行憲法が想定する「勤労」の定義があまりにも昭和的な企業労働に偏っており、時代にそぐわないという点だ。専業主婦(主夫を含む)が担う家庭内労働を法的にどう位置づけ、義務と権利の平準化をどう図るのか。法解釈の現場でも、もはや従来通りの「建前」だけでは押し通せない局面を迎えている。