そもそも、大根の内部に空洞ができる「す入り現象」とは何なのか。農林水産省が公表する営農指導資料や食品科学の研究によれば、これは大根の急激な成長や収穫時期の遅れ、あるいは保管時の高温によって、根の中央部の細胞から水分と養分が消費され、細胞自体が壊死・空洞化することで発生する生理現象である。
春先や初夏に出回る大根、あるいは冬場に長期間保存された個体に多く見られる。食中毒や腐敗の原因となる微生物の繁殖とは異なり、人体に害を与える毒素が発生しているわけではない。つまり、品質の劣化というよりは「水分の偏り」が生じた状態に過ぎないのだ。
塩分や水分バランスが変化しているため、生のまま噛むと筋っぽさやパサつきを感じるが、これは食物繊維や栄養素が完全に失われたことを意味しない。構造を理解すれば、捨てる理由はどこにもないことが分かるはずだ。