アパレル業界のみならず日本のビジネス界で常に注目を集めてきたのが、ユニクロの「後継者問題」です。オーナー企業にありがちな世襲人事について、柳井正氏は早くから一貫した見解を表明してきました。
正氏は「子会社やグループの社長を含め、息子たちに社長の座を継がせることはない」「経営はプロの経営者が行うべき」と公言。2026年には生え抜きの塚越大介氏がユニクロの社長兼COOに就任するなど、集団指導体制とプロ経営者への権限委譲を着実に進めています。
では、取締役となった一海氏と康治氏の役割は何なのでしょうか。その本質は「執行(経営の実行)」と「統治(ガバナンス・大株主としての監視)」の完全分離にあります。息子2人は日々のオペレーションを指揮するのではなく、創業家の大株主代表として取締役会に参画し、経営陣が暴走しないよう監視する役割を担っているのです。
柳井家が目指すのは、米ウォルマートのウォルトン家のように、創業家が主要株主として理念を守り続けながら、実際の経営は優秀なプロフェッショナルに託すという「欧米型の洗練された企業統治モデル」です。