自ら診断を受けたことを公表し、この分野の論争に一石を投じた心理学研究者サム・ヴァクニンは、自己愛者が辿る末路を「無の境地(Void)」という容赦ない言葉で表現する。ヴァクニンによれば、彼らは他者を一人の人間として見ておらず、己の承認欲求を満たすための「都合の良い鏡」としてしか扱わない。
したがって、加齢によって若さや地位、経済力が衰え、鏡となってくれる人間が誰もいなくなったとき、彼らは生きる意味そのものを失う。称賛というガソリンを完全に絶たれた病的な自己愛者は、急激な精神的崩壊を回避できない。長年作り上げてきた仮面が剥がれ落ち、内側に隠していた猛烈なコンプレックスと無力感に直接晒されるからだ。現実を受け入れられない者は、周囲への攻撃性を強めるか、あるいは社会からの完全な引きこもりへと追い詰められていく。