世界のファンタジー映画産業において、『となりのトトロ』が与えた衝撃は今なお計り知れない。ハリウッドの大規模なCG映画とは対極にある、手描きアニメーションの温もりと人間臭いダイナミズム。その中心にいたのが、草壁メイという不完全で愛おしい存在だった。
海外のジブリファンにとっても、メイのセリフやニュアンスは特別な意味を持つ。吹き替え版でも「とうもころし」に相当する幼い言い間違いが工夫して翻訳され、世界中の子供たちや大人の心を捉えて離さない。一国の一地域の昭和の日常を描いた作品が、グローバルな普遍性を獲得した背景には、言葉の壁を超える「子供の生きた描写」があった。