訪問者の急増に伴い、現地の交通インフラと自然環境の保全は重大な岐路に立たされている。分杭峠の頂上周辺は通年で自家用車の進入が全面禁止されており、麓の伊那市長谷にある「粟沢駐車場」からのシャトルバス利用が義務付けられている。この厳格なアクセス制限こそが、急勾配の狭隘な山道における事故を防ぎ、繊細な自然環境を守る防波堤となっている。
「マイカーを野放しにすれば、山道は即座に大渋滞を起こし、排気ガスで森の生態系が破壊されてしまう」。地元関係者は危機感を露わにする。2026年シーズンも、バスの発着ペース調整や駐車場の空き状況のリアルタイム配信など、混雑を分散させる取り組みが続く。しかし、静けさを求めて人々が殺到することで、その静けさ自体が脅かされるというジレンマは、いまだ完全には解消されていない。