結論から言うと、田中理恵さんが活躍していた競技は「器械体操」であり、「新体操」ではありません。両者は同じ「体操」という単語が含まれるものの、ルールも種目もまったく異なる別競技です。
まず、競技の決定的な違いを押さえておきましょう。
- 器械体操(Artistic Gymnastics):跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆかの4種目(女子)で構成され、アクロバティックな跳躍や回転技、力強さと正確性を競う競技。
- 新体操(Rhythmic Gymnastics):リボン・フープ・ボール・クラブ・ロープの手具を用い、音楽に合わせて柔軟性や優雅なダンスステップを競う競技。
田中理恵さんは跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆかの器具を駆使して技を競い合う器械体操の選手でした。それにもかかわらず「新体操選手」と誤認される最大の理由は、2010年の世界体操競技選手権(ロッテルダム)で日本人女子として史上初となる「ロンジン・エレガンス賞」を受賞したことにあります。
エレガンス賞とは、技の難度だけでなく「際立った美しさ・気品・優雅な身のこなし」を魅せた選手に贈られる特別な名誉です。彼女の157cm・45kg前後のすらりとした抜群のプロポーションと、指先まで神経の行き届いたクラシックバレエのような表現力が、多くの観客に「新体操の妖精」のようなイメージを強く植え付けたといえます。