野外で虫に襲われた際、最初に対象を見極めることが適切な対処への第一歩です。アブとブヨ、そして身近な蚊はすべて「ハエ目(双翅目)」に属する昆虫ですが、その外見や吸血方式には決定的な違いがあります。
アブ(虻)は体長が約1.5cm〜3cmと大型で、黄色と黒の縞模様を持つ種が多く、一見するとスズメバチやアシナガバチに似ています。飛行時には「ブーン」という低い羽音を立てて直線的に素早く飛び回るのが特徴です。
一方のブヨは体長約2mm〜5mmと非常に小さく、丸っこい体型で黒っぽいコバエのような見た目をしています。羽音はほとんど聞こえず、集団でまとわりつくように飛来するため、気づかないうちに皮膚に取り付かれているケースが少なくありません。
なお、ブヨには地域によって異なる呼び名が存在します。標準和名は「ブユ」ですが、関東をはじめとする東日本では「ブヨ」、関西や九州など西日本では「ブト」と呼ばれるのが一般的です。呼び名が異なるだけですべて同一の昆虫を指しています。
また、蚊との最大の違いは「血の吸い方」にあります。蚊は細い口吻(ストロー状の針)を皮膚に刺して毛細血管から直接吸血しますが、アブやブヨは鋭い大あごで皮膚を噛み切って出血させ、その血をすするという荒々しい吸血行動をとります。この吸血スタイルの違いが、刺された後の強い炎症や組織破壊の原因となっています。