物語の冒頭、死んだ「ボク」の前に「プラプラ」と名乗る謎の天使が現れる。抽選に当たったボクは、自ら命を絶った中学生・小林真の身体に宿り、彼が自殺に至った理由と自身の前世の罪を思い出すという再挑戦の課題を与えられる。真の日常に飛び込んだボクが目撃したのは、壊れかけた家族関係、密かに想いを寄せていた女子生徒の変貌、学校での孤立という、あまりに冷酷で灰色な現実だった。
小説『カラフル』が描くのは、完璧に見える人間などおらず、誰しもが濁りや歪みを抱えて生きているという真実だ。過酷な現実の中で、ボクは真の目線を通し、これまで見えていなかった他人の多面性や密やかな優しさに気づいていく。作中で提示される「世界は一色ではなく、カラフルでいいんだ」という視点は、自分や他者を一つの固定観念で決めつけてしまいがちな現代人の心を解きほぐす、強い救いとなっている。